いま、新たなサッカースタジアムの建設にあたって、人工芝にすべきか、天然芝にすべきかという議論があります。
僕が“人工芝派”だとしたらその根拠を言えますが、もし“天然芝派”になれといわれたら、今度はその根拠を並べることもできます。
対立する概念があったとして、ロジックはそのどちらの正しさも証明できてしまうんですよ。
【中略】
「ロジックは人を説得する道具でしかない。仕事で成果をあげる、新しい価値を生むにはまるで役に立ちません」
ビジネスパーソンにとってのロジカルシンキングは、サッカー選手にとっての「足が速いこと」くらいの位置づけ。
分かりやすく伝えるためには有利かもしれないが、必要条件ではないという。
「コンサル業界を見わたすと、チャーミングな人はもちろんいるんだけど、ロジカルシンキングから抜け出せない“ロジカルバカ”が完成しちゃうこともあるんですよ。人の気持ちはロジックでは動かないのに……」
人を惹きつけて動かす、プロジェクトを完遂するには、結局のところ、強い情熱があるかどうかだという。
だからこそ「自分が何を好きか。なぜ楽しいか。どうしてそれに向かって頑張るのか。その思いの強さが大事です」と話す。
【後略】
”ロジカル思考バカ”がまるで使えない理由
https://president.jp/articles/-/28303
PRESIDENT ONLINE 2019/4/8記事より引用
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補助金申請や公的認定制度申請のための事業計画書を見る機会が多くありますが、めちゃくちゃきれいに書かれていて、ロジックも流れるようにしっかりしていても、読み手にまったく響かないものがよくあります。
「あ、これ、コンサルさんに丸投げしたな・・・」と、すぐにわかってしまうんです。
申請者である社長さんご自身が書いていないから、情熱が感じられなくて、どこまでいっても他人事感が否めません。
一方で、たどたどしくても、誤字脱字が多くても、手書きであっても、心を打つ申請書もあります。
これは申請者自らが「書き方難しいねん!」と愚痴をこぼしながらも想いをぶつけてみた、というもの。こういったもののロジックとか誤字脱字とかを後から修正したりアドバイスしてくれる人たちは私たち含め腐るほどいますから、多少粗くても、こっちのほうが確実に伝わります。
我が事だからでしょう。
ロジカルシンキングはあくまでもツールで、そのビジネスを実践する人の想い、いわば「我が事」感がなければ、無用の長物になるのかもしれませんね。