ブログ

平成30年8月22日 ケアマネを志す介護人材が急減!?

介護労働安定センターが、2017年度の介護労働実態調査の結果を公表しています。現場の人手不足感が4年連続で上昇し、66%に達するなど深刻な状況に注目が集まります。ここでは、調査の中から「直近1年で大きく変わった」状況の一つを取り上げましょう。

介護業界で「別の仕事」をするとしたら?

取り上げたい項目は、介護労働者を対象とした調査の「仕事(職種)に関する希望・目指す職種」です。この調査では、まず「今の仕事(職種)を続けたいか否か」について尋ねていてます。それによれば、(1)「続けたい」が53.8%、(2)「今の仕事(職種)以外の仕事をしたい」が28.4%となっています。

上記の(2)のうち、質問で指定した仕事(職種)を「したい」という回答((3))は23.6%。その指定された仕事(職種)というのは、訪問介護員、介護職員、ケアマネ、サービス提供責任者(以下、サ責)、看護職員、生活相談員、PT・OT・ST等となります。では、(3)の回答者のうち、上記の「したい」という仕事(職種)の比率はどうなっているでしょうか。

職種別にあげると、訪問介護員が47.4%ともっとも多く、介護職員が13.0%、ケアマネとサ責が各7.5%、看護職員7.4%、生活相談員6.2%、その他が11.0%となっています。不足感が特に強くなっている訪問介護員が「したい」仕事の半分を占めるのは、やや意外かもしれません。パート的な働き方を希望する人にとっては、(あくまで未経験者の視点からですが)「勤務時間の自由度がききやすい」というイメージが「やってみたい」という意識につながっている可能性もありそうです。

「ケアマネをしたい」が1年で半減以下に

さて、注目したいのは、対前年(16年)度との比較です。全般的に大きな数字の変化が見られない中で、変化が著しい部分があります。それが、「したい」仕事(職種)のうちで、ケアマネの比率が「18.1%→7.5%」と約2.5分の1にまで急減していることです。この減少分は、訪問介護員や介護職員の増加分(訪問介護員で「43.1%→47.4%」、介護職員で「11.4%→13.0%」)でほぼ吸収されています。

上記の数字を見てもわかるとおり、16年度では、「ケアマネになりたい」という割合は、「介護職員になりたい」を上回っていましたが、それが完全に逆転しています。ケアマネが介護職員の上位資格にあたると考えれば、キャリアステップ的には、まったく逆の状況が強まっていることがわかります。

恐らく、多くの人は以下のような背景を頭に浮かべるのではないでしょうか。17年4月の期中改定で、介護職員処遇改善加算が上乗せされましたが、介護職員(訪問介護員含む)以外の職種は依然として対象になりませんでした。一方、調査が実施されたのは17年10月ですが、この段階で18年度改定の議論は進行中。ケアマネに関していえば、対医療連携等にかかる実務量がかなり増えそうだ──という予測は業界内でも囁かれていました。

「今、ケアマネを志す」のはリスクが高い?

つまり、現場の介護人材としては、「ケアマネを目指すよりも介護職員のままキャリアアップを図った方がベター」という判断に至りやすくなったという仮説が浮かびます。先の期中改定による処遇改善加算の新区分では、経験・資格等による昇給要件の明確化が図られました。少なくとも、「処遇改善加算がつかず、今後職責の範囲がどうなるのか見えにくい」というケアマネを目指すのは、「リスクが高い」となってしまうわけです。

これは、介護人材のキャリアステップにおいては、極めて重要な問題です。なぜならば、国が目指そうとしている「富士山型」のキャリアモデルにおいて、高みの一角を構成するケアマネというキャリアルートが崩れてしまっていることを意味するからです。

山登りで言えば、頂上へ向かうある地点からの視界が不明瞭となり、(介護職のまま現場リーダーや管理者を目指すという)限られたルートを選択せざるを得ないということです。これでは、「もっと高みを目指そう」という意欲の源泉は限られてしまいます。職業人生にかかる意欲の方向性がしっかりしていなければ、その業界の未来は見えてきません。

国は、地域包括ケアシステムの「要」としてケアマネを位置づけているはずです。それに見合った処遇改善のあり方を早急に検討すること。それこそが、介護人材のすそ野を広げていくうえでの特効薬ではないでしょうか。

ページトップへ